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高校の日々にヤツと啜ったうどんは、今日もあの日の味がした。
今日は、先日亡くなった親友の葬式だった。
ヤツと会える最後の日だから、当然参列した。
ヤツとは昨日のお通夜でも会っていて、「お別れ」で顔も見たけど涙は出なかった。
大柄なヤツが窮屈そうに棺に納まって、苦手な主役を務めてるのを見て、
「大変そうだな」と、笑えなくなったヤツの代わりに笑ってやっておいた。
でも、今日「最後のお別れ」で棺に花を納めるとき、涙がこみ上げてきた。
もう数分して蓋が閉じれば、もう二度と会うことはできないんだ、
そう思うと涙が次から次へと湧き上がってきた。
ただ、俺もヤツも湿っぽいのはあんまり得意じゃないから、ひとつ拝んで部屋を出た。
これでいい、「バカ野郎」「ありがとう」「お疲れさん」は全部言えたし。
出棺。俺は担ぐ気満々でいた。
人より頭一つ以上大きかったヤツだ、きっと重かろうと思っていた。
喪主の挨拶でお父さんが「ウチの息子はいいヤツでした」と言っておられたが、
だから担ぎ手が多すぎて、担いでみたらとても軽かった。
本当にヤツは「いいヤツ」だった。
「ご友人もどうぞ」と言われたけど、火葬場へは行かなかった。
焼かれて小さくなった姿は見たくなかったし、俺なりの方法で送ってやりたかった。
ヤツを載せた車を見送って見上げた空は、抜けるような青い空。
雲一つなく、どこまでも気持ち良く晴れた、青い空だった。
しばらくしたらここを昇って行くんだなぁ、そう思いながら駅までの道を歩いた。
そうしてやって来たのは、とあるうどん屋。
店の構えは変わっていたけど、あの頃と同じに賑わっていた。
高校の日々にヤツと啜ったうどんは、今日もあの日の味がした。
ありがとう、楽しかった。さようなら。
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